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共感覚関連本

共感覚者と接点をもったことをきっかけに、読んだ共感覚にまつわる関連書籍。
そのなかのいくつかをご紹介します。
きっかけについてはこちらのイベントレポートをご覧ください。

「ねこは青、子ねこは黄緑-共感覚者が自ら語る不思議な世界-」
パトリシア・リン・ダフィー著/石田理恵訳
出版社:早川書房
発行年:2002年

自身も共感覚者であるパトリシア・リン・ダフィーによる著作。父親との何気ない会話から自身が共感覚者であり、「世界は自分が思っていたものとは違うらしい」ということに気づかされ、うろたえてしまったというエピソードから本著は始まる。著者の生々しい経験談や他の共感覚者との対話、共感覚者の芸術作品についての思索が綴られると共に、研究者との様々なやり取りも織り交ぜられ、共感覚に関する科学的な説明が広範に紹介されている。それら数多の話題は共感覚に関する概要を説明するだけでなく、「あなたが見ているものは、私が見ているものと同じですか?」という問いを読者に投げかけている。共感覚の世界を知りたいと思った方には、その一歩としてお勧めしたい1冊である。

SYNAPSE Lab. おかべしょうた

 

 

 

「脳のなかの万華鏡」
リチャード・E・サイトウィック、デイヴィット・M・イーグルマン著/山下篤子訳
出版社:河出書房新社
発行年: 2010年

共感覚の科学的研究の確立に尽力してきた精神内科医サイトウィックと、近年の共感覚の脳機能イメージングの代表的研究者であるイーグルマンによる共著。2000年代の脳研究を含め、共感覚についての最新の科学的知見を幅広く網羅し統合している。同時に、実験から浮かび上がってくる共感覚の印象的な特性の記述を重ねていくことで、多様な共感覚の世界を読者に追体験させてくれる魅力も備えている。この本が持つ鮮やかな喚起力は、共感覚者の主観的な内観報告をいかに客観的な科学的データとして取り扱うかに苦心し、実現させてきた研究者だからこそのものだろう。そして、特殊な現象である共感覚を通じて、あらゆるひとの感覚が創造的なものであることに気づかせてくれる。

SYNAPSE Lab. 飯島和樹

 

2013.6.15